スペクタクル

今季の大宮アルディージャはこれまでとは別物になる可能性がある。
第6節、ジェフユナイテッド千葉vs大宮アルディージャの試合に、その萌芽を観た思いがした。


この試合、大宮は覚醒したデニス・マルケスの個人技(と、千葉のお粗末な守備)によって
前半の内に2点を先制する。
普通はこの時点で試合をクローズする方向に持っていかねばならないのだが、
順位が順位なだけに後半から必死に頑張る千葉に対して受け身に回ってしまう。
ボール保有率で上回られ、守備に回る時間が長くなる。
すると守り疲れが出たのか徐々に足が止まり、プレスも効かなくってくる。
最初の失点は、流れ上必然でもあった。これは2点差の怖さでもある。
千葉はさらに必死に頑張る。
大宮としては冷静にキープする方向に持っていけなかったか。
監督のコメントにもこの点を反省する発言があった。


同点もまた、必然である。頑張ったチームにはご褒美がある。
より負けたくないと思ったチームに、サッカーの女神は微笑む。
……おそらく千葉は、同点になった時点である程度の満足感を得たのだろう。
そこでより「勝ちたい」と願ったのは、大宮の側だった。
DFのレアンドロがエリア内まで上がり、勝ち越し弾はそのレアンドロが胸で落とした
ボールに走りこんだ片岡の必殺ミドルシュートであった。サッカーの神は、残酷なのである。


途中出場のペドロ・ジュニオールがトドメを刺す4点目を決めたとき、思わず笑いがこみ上げた。
この試合、決して褒められた内容ではない。
4得点の割に試合を支配できた訳ではない。
助っ人頼みのまぐれの得点と言う意地悪な人もいるかもしれない。
だが2点差を追い付かれたのにも関わらず、そこから突き放す底力は今までの大宮には無かったものだ。


今節で獲得したものは、勝ち点3以上の重みがある。
そう確信している。