Obrigado TONINHO ”4”

大宮アルディージャは11月30日付けでトニーニョ他、4名の選手に対して
来季契約を行わないと発表した。また、埼玉新聞によるとアビスパ福岡から
レンタルで移籍している久永もまた、今季限りで契約を打ち切るとのことだ。
トニーニョと久永などはチームの大黒柱であるにも関わらず、だ。
トニーニョ(以下、トニ)については語りたいことが山ほどある。


トニとの出会いは、大宮との出会いでもあった。確か2001年の移籍最初のシーズン。
新聞屋からチケットをもらって大宮公園へと試合を観に行った。
当時J2だった大宮の選手の名前など、一人も知らない状態。しかも海外サッカーに
入れ込んでいた時期だったのでJリーグになど興味が無いと吹聴するようなスレた人間だった。
だから、J1ならまだしもJ2(当時)のことはさっぱり知識として持っていなかった。
しかし心の中では地元のクラブチームを応援したいという欲求も少なからずあった。
埼玉には2つのプロサッカークラブがある。一つは言わずと知れた「浦和レッズ」。
もう一つが「大宮アルディージャ」だ。
正直言ってどちらのファンになってもよかったのだと思う。
サッカーのサポーターになるには、(例外はあるにせよ)地域性を抜きにしては語れない。
だから、地元埼玉のクラブであればどこでもよかった。大宮を選択したきっかけは、
タダ券をもらったからというただそれだけのことだった。
……前置きが長くなったが兎も角自分は「たまたま」大宮公園へと趣いたのだ。
行って驚いた。あまりにもスタジアムが古い(笑)。ゴール裏はコンクリート打ちっぱなしに
段差をつけただけの簡素なもの。バックスタンドはそれにベンチシートを付けただけだ。
メインスタンドも質素で味わい深い。売店では焼きそばとフランクフルトぐらいしか売っていない。
ひどく昭和の香りがするなあと思ったら、何と大宮公園は日本初のサッカー専用スタジアムだそうで、
東京オリンピックに合わせて建設されたらしい。合点が行った。
しかし最も驚いたことがある。サッカー専用でぴんときたかもしれないが、それはピッチとの距離が
物凄く近いということだ。ピッチと近いということは、つまり選手との距離も必然的に近いということ。
ライン際での競り合いでは息遣いまで聞こえ、スローイン時はバックスタンドならその距離にして
1メートル程度といっても言い過ぎではない。サポーターの声はダイレクトに選手に届き、逆もまた然り。
……話がそれまくっている気がするので元に戻す。
試合はさして面白いものではなかった。その日の対戦相手も覚えていないし、どっちが勝ってどっちが
負けたのかも覚えていない。J2(当時)は何しろパスミス、トラップミス、シュートミスが多い。
ボールが繋がらない。見ていて気持ちがよくない。それはサッカーとは別の何かだとさえ思ったし、
チャンスの潰しあいなど面白い訳が無い。もちろん中には目立つ選手がいる。ボールがよく収まり、
決定的なパスを何度も供給するようなプレーヤーがいる。しかしサッカーは一人でやるスポーツではないから、
次の選手がボールコントロールできないようでは点は取れない。とまあボロクソに貶してみたものの、
そんな中でも分かったことがある。それは選手たちはひたむきにサッカーをしているということだ。
J2(当時)の大宮の選手たち(+どこかのクラブ)はどいつもこいつもヘタクソだ。しかし、ボールを
追いかけてよく走っていた。それは距離が近い大宮公園マジックでもあったかもしれない。
下手なりに一生懸命にサッカーをしている。それはよく伝わってきた。
そんなことを考えながら試合を観ていると、コーナー付近で選手が倒されたときに突如素っ頓狂な声が
上がった。見れば片言の日本語で、審判に対して大声で抗議している外国人選手がいる。
「チガウヨ、ファールジャナイヨ!」とか言ってたかな? そのあまりの剣幕と片言っぷりに一緒に
観に行った友人と共に大笑いしたのだった。その外国人選手が、つまりはトニだった訳である。
……そして気付けば自らチケットを買って大宮公園へと通うようになり、時間はかかったものの
大宮は一昨年J1へと昇格した。
J2では鉄壁だったトニだがJ1ではどうか? と思われたが十分に通用した。スピード系の選手は
若干苦手としたが高さに対しては無類の強さを誇り、セットプレーやポストの選手への浮いたボールは
何度となく跳ね返した。フリーの時に不用意な横パスをして掻っ攫われるシーンなどもあったが瑣末なことだ。
去年今年と概ねシーズンを通して安定したプレーを披露し、不動のCBとして君臨。
大宮の未来はトニと共にある。サポーターは誰もがそう信じて疑わなかった。


それだけに、今回の契約打ち切りは大宮サポーターの殆どがショックを受けたに違いない。
トニは今の大宮にとって欠かすことのできない主力だ。6年間在籍して人気も高く、
今季は累積警告での出場停止以外ではほぼフル出場を果たしたような選手を副キャプテンも
務めたような選手を解雇するなど普通ではありえない。あまりにも不義理ではないのか。
甲府へ行ってからさらに成長したバレー、山形へ移籍して一皮剥けたレアンドロなどとは
状況がまるで違うのだ。大宮フロントは何を考えているのか。
愚痴を並べ立ててきたが、決まってしまったことは覆せない。今は、トニの今後の
家族との幸せ、そして素晴らしいサッカー人生を送ってくれることを願うばかりだ。


そして久永、安藤智安、平岡、三上、小林庸尚。今まで大宮で活躍してきた(小林庸は一度も
トップに上がれなかったが……)彼らにも感謝をの念を。彼らもまた、今後の活躍を祈っています。


今日は長くなりすぎた。言葉が溢れてきて止まらない。
今日の日記は文章がてんで繋がっていないし要点もバラバラだ。
訳の分からないことを書いたような気もする。うろ覚えのことを書いて
事実確認もろくにしていない。でも、勢いのまま、思ったまま書いて、載せる。


トニ、今までありがとう。そして、さようなら。